漢方薬の名前には、概ね葛根湯や小青竜湯とか後ろに「湯」とつく名前のものと、当帰芍薬散や加味逍遙散とか「散」がつくもの、八味丸や六味丸のように「丸」がつくものがあります。本来、生薬を煎じて飲むものは「湯」の名がつきますから温めて飲むのが基本です。また「散」がつくものは、生薬を薬研と呼ばれる道具で粉にして服用するもので、特殊なもの(日本酒で服用するものなど)を除いてそのまま水または白湯で服用します。「丸」剤は、散薬を蜂蜜などを混ぜて加工したもので、一部のものは日本酒で服用させたりするものもありますが概ね散剤と同じ飲み方になります。
さて現在では、多くの漢方薬がエキス剤という簡便な形になっております。エキス剤というのは、生薬を煎じたものをフリーズドライ製法などで顆粒ないしは微粒散剤にしたもので、インスタントコーヒーと同じような製法のものと考えてよろしいと思います。ですから「湯」「散」「丸」みなエキス製剤のものは、皆一度煎じて煮出したものになります。
よく患者さんから質問されるひとつに「私の漢方薬はお湯で飲んだ方がいいでしょうか?水で飲んだ方がいいでしょうか?」と訊かれます。通常はどちらでも飲みやすい方でいいと思いますと答えますが、場合によっては指定することもあります。例えば風邪をひいて熱が出て、寒気があってという寒邪によって引き起こされた症状に葛根湯や麻黄湯、桂枝湯等などの場合は熱湯に溶かし服用して下さいと指導をします。汗をかかせて邪鬼を追い払いたいのです。それらの条文の後には、おかゆをすすって身体を温めて汗を出すということも書かれています。赤ちゃんや嚥下困難な人にエキス剤を服用させるには、株式会社龍角散の服薬ゼリーなどもお勧めしております。